活用事例

高齢者支援のための財産管理と処分権委託

 相談内容 福岡県内N様の家族信託コーディネート

子のいない高齢者支援のための財産管理と処分権委託

・老人ホームに入所中の90歳後半になられるSさんは、生涯独身だったためお子さんはおられません。

財産は、少々の預貯金と、自宅不動産。入所後のS様の世話と、空き家となった自宅の管理は、Sさんの妹さんであるAさんがされています。
といってもこの方も既に80代のご高齢。
・Aさんからご相談は、「世話をしてきた自分も高齢であること。私の自宅から施設及び姉の自宅まで遠く、維持管理も大変であること」
「金銭財産も少なく、不要不動産を売却して少しでも姉の生活支援や介護費用として充てたい」との内容でした。

・既に築後20年を超え、評価額もそれほど高くない不動産ですが、注文建築で建てられた家はまだまだ十分利用できます。建物価値もある今ならまだ相応の価格で売却も可能。土地は代々相続により受けたもので取得費は不明につき、売却した場合、譲渡所得税がしっかりかかります。が、空き家となって一年足らずであることから、*-1転居してから3年後の12月31日までに譲渡できれば3,000万円の特別控除も受けられます。
Sさんは身体的な衰えはともかく、まだお元気で判断能力もありますが、ご年齢からすると、売主となっての任意売却には懸念があります。妹であるAさんとも話し、家族信託のご提案をいたしました。
・契約をするにあたって、ご本人にお会いするため幾度か施設を訪問。信託の制度、目的等をイラストを使って解りやすくご説明しながら、
*-2 Sさんの信託契約における認識と理解度の判断をさせていただきました。

 その後、司法書士と契約内容について摺合せ。最終的に、Sさんには施設にて契約書に委託者としてご署名・押印をいただきました。

-1 信託財産に入れたとしても、税の特例は受けられます。

-2 信託契約を交わすにあたり、委託者の要介護度は直接に関係しません。信託の目的と内容に対する認識と理解ができるかどうか。

 

■スキーム

■目的 空き家処分とS様の生活支援

■委託者Sさん⇔*受託者Aさん(Sさんの妹)⇒受益者Sさん
 *Aさんも高齢ですが、これまで最も身近に世話をされてこられてSさんの信頼も厚い。

■第二次受託者Bさん(Sさんが可愛がっておられる姪)

信託監督人Cさん(受託者Aさんのお子さん)

 *当初、Aさんは第二次受託者にCさんを推薦されていましたが、Cさんは遠い県外におられるという
ことでしたから、Aさんの意向もくみ、監督人という役割を担っていただくことにしました。

 

*信託契約終了事由・・

(1)受託者および委託者の合意

(2)信託法第163条1号~8号の信託の終了事由が生じたとき

(3)信託財産がなくなったとき

(4)委託者であるSさんが死亡したとき

*残余財産の帰属権利者も定め・・