Q&A
- 信託した場合も、税金の優遇制度は適用可能?
- 所有財産を信託財産に入れても税務メリットはありません(*リスクもない)。
下記各種特例も受けられます。
・相続税における小規模宅地の特例
・居住用不動産を売却した場合の3,000万円特別控除
・相続時精算課税制度
・婚姻期間20年以上の配偶者からの居住用不動産贈与 等。
*但し、信託期間中において、信託不動産(大規模修繕等)から生じた損失と他資産との損益通算は不可。
- 家族信託(民事信託)を利用した場合とその他制度との比較について(家族信託を利用した場合)・・
- 家族信託(民事信託)は、本人がお元気な間に契約によって、信頼できる相手に目的をもって財産管理を託す制度です。その為、将来、もし本人の判断能力が低下したとしても、契約目的に沿って財産の処分や管理が凍結することなく続けることができます。
例えば、そろそろ認知症や身体の衰えが心配なお父さんと、信頼する息子さんとの間で信託契約が締結されると、「賃貸不動産の管理、処分や本人の為の預貯金の有効利用」等々、信託期間中に本人(委託者であるお父さん)の判断能力の低下や死亡が発生しても、設定内容によって信託は継続され、契約目的に記されたお父さんの想いというものが、受託者によって活きつづけることになります。
また、信託は契約ですので、後日遺言されても先に所有者の意志で契約されたものが優先されますし、後見人の権限が及ぶこともありません。
即ち、自らの財産を、自分の死後を含めてどのように利用するかにつき、柔軟なプランニングを可能にする道具ともいえます。
- 家族信託(民事信託)を利用した場合とその他制度との比較について(遺言の場合)・・
- 遺言は、本人の意思を相続人に反映させることはできますが、あくまでその効力が発生するのは本人の死後となり、本人の認知症等、判断能力の低下後、死亡まではやはり財産が凍結状態になり、何もすることはできません。尚且つ遺言は、自筆遺言であれば検認手続きの手間と、何より一旦書かれても後日書き直しの可能性もあって安定性に欠けます。
- 家族信託(民事信託)を利用した場合とその他制度との比較について(成年後見制度の場合)・・
- 成年後見制度の場合・・任意後見、法定後見共に、家庭裁判所の監督の下、本人の財産保護(本人が死亡するまで財産を減らず現状維持することが原則)及び身上監護(医療、介護の契約締結等)を第一目的としています。よって、自宅を売って施設の入所費用を捻出したい場合にも、厳格な家庭裁判所の許可を要する等、せっかくの財産を必要に応じて積極的に有効活用することはできず、事実上凍結状態となります。
又、例え本人の為ということで家庭裁判所の許可が得られる可能性があったとしても、許可を得るためには数ヶ月かかることもあり、家族にも大きな負担がかかります。
尚、成年後見人に専門家が就くと継続的な報酬(月額2~3万)が必要となりますし、例え親族が就くことができた場合、報酬は不要でも、毎年裁判所に報告書の提出義務があり、労力と心理的負担は免れません。
- 自益信託にするか他益信託にするのかについては、どのように判断するか。
- 贈与するかしないかのタイミングに因ります。
「信託」は基本的に「贈与」。税務上は、信託財産から経済的利益を受ける者(受益者)が信託財産を有するとみなされ課税されます。
自益信託(委託者と受益者が同じ)の場合、経済価値の移動(所有者の移動)がないということになり課税関係は生じません。
他益信託(委託者と受益者が異なり適正の対価がない)場合、信託財産から生じる果実(益)の移動があることから贈与課税が生じます。
以上の観点から、家族(民事)信託を設定する場合、当初における基本設定は自益信託です。
■信託は課税時期を決められる。税務を考えた上で受益者を設定できます。
・遺言代用信託⇒死んだ時に贈与
・停止条件付き遺言代用信託⇒孫が成人となったら◯◯を渡す・・
- 成年後見制度とは
- 認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方は、契約や遺産分割協議への参加、介護施設への入所契約、預貯金の管理等を自分で適切に行うことがで きません。また、詐欺や悪徳商法の被害に遭う可能性もあります。
その様な判断能力の不十分な方を保護し、支援するのが成年後見制度です。
成年後見制度には「法定後見」(既に判断能力に衰えのある方のため)と「任意後見」(まだお元気なうちに、将来後見人になってくれる方を決め、どのような支援を受けたいかを、契約で定めておく制度)の2種類あります。