相談内容
親亡き後の障がいをもつ子の生活が心配
- Aさん(67歳)と妻Bさん(65歳)には、自立生活が困難な重度の知的障害をもつ長女Cさん(38歳)がいます。
- Cさんの世話を長年してきたAさん夫婦ですが、最近富に身体的衰えを自覚するAさんは、自分が認知症になった場合における妻の苦労と、いずれ夫婦共に亡くなった後のCさんの生活の面倒を誰が看てやるのかが不安です。
- 別居する姉思いで独身の長男Dさん(35歳)は、Cさんの面倒は自分が看続けるから心配は要らないとは言ってくれていますが、金銭面を含め過度の負担をかけたくありません。
<Aさん夫婦の財産状況>
自宅不動産
預貯金等4000万円
年金収入月額20万(夫婦合わせて)
■家族信託以外の方法を利用した対策
- 贈与
⇒長女に判断能力がないので贈与契約不可。 - 遺言で財産を長女に遺す。
⇒遺言は遺言者が死亡するまで効力が生じないので有効対策とはならないし、贈与同様、たとえ渡ったとしても長女に管理能力がない。 - 親が判断能力を喪失した場合、本人の意思確認ができないと、定期預金の解約も不動産の売却もできなくなる。
- 成年後見制度を利用した場合、財産が家庭裁判所の監督下に置かれるので、柔軟な資産管理や相続対策ができない。
また、身内でもない後見人が、Cさんの身上監護及び財産管理についてどれだけ的確にしてくれるかわからない。
■家族信託を利用した提案
- AさんおよびBさんを委託者兼当初受益者、長男Dさんを受託者、CさんとDさんを二次受益者、Cさんを三次受益者とした信託契約を締結します。
- 尚、将来において、受益者代理人選任の必要性が出る場合を想定して、母Bさんの姉妹の甥を受益者代理人予定者としておきます。
- A、Bの家族とBの姉妹家族との仲は以前より円満であり、障害者であるCへの理解も十分にあります。