ブログ

四季

 日本はいい。

なんといっても移ろう四季というものを味わうことができるのだから。
花も季節も、なんと律儀なことか。
巡る季節のなかで、自分をしっかり全うして生きている。
 

若い頃、四季の中で好きなのは秋だった。
しっとりとして余韻を持つ季節。
そして夏は嫌いだった。
開放的で派手な光景の中、人は皆外に出て行き、例えば砂浜のざわめきを傍目に、一人取り残されたような寂しさをもったものだ。

 

で、やはり、好きなのは春から初夏だろうか。
束の間の美しさを見せて桜咲き、やがて目映いほどの新緑の季節。
そして梅雨あけて夏雲浮かぶ時。

 

考えれば夏も桜の季節と変わらぬほど短い。
照り返し、蒸しかえる様な夏も、好きなのは初めだけだ。
すぐにその風景の先に、終わり行く夏を見てしまう。

 

まるで、中学生や高校生の時、楽しい土曜日の放課後がきて、一時の開放された気分は、翌日曜日の夕暮れ時には、またなんとなく月曜日の登校の憂鬱さに覆われているのと同じ様でもある。
盆、帰省の折、山間を車走らせながら、傾く夕日に山肌が染まる中、
響くひぐらしの鳴き声は、実に寂しく聴こえてくる。

 

やはり季節は、春から初夏にかけてがいい。

全てが息吹いている。

 

夕景、夜景、秋、冬
黄昏る光景は好きではない。
暗闇はもっと落ち着かない。