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防波堤

祖父母が居て父母が居る状況では、

その存在が、高い防波堤となって、その先に広がる「死」という海の存在等、見る事も近しく感じることもありません。

やがて、祖父母が亡くなり父母が居なくなると、堤は近くなり、眼前に、その海が見え隠れするようになります。

子供の頃、青年の頃、働き盛りの頃
祖父が居て祖母が居て
父が居て母が居て

様々な家族の在り方がある中、
いずれも肉親の存在は、堤であるには違いない。

時の経過とともに、やがて、ちらほら見え出す海原を実感する事になる。

順送りの防波堤として、その時迄精一杯生き切る事が、後に続く者への果す役目と思った、ある通夜の帰り道。