活用事例

事業承継~株式信託の概要

■事業承継における課題・・企業オーナーの悩みは尽きない・・
後継者に「経営権(=議決権)」を「いつ」承継させるのか?

・非後継者に「株式の財産権」を「どのくらい(割合)」承継させるのか?

・株主に相続発生⇒株式は法定相続人の準共有になります。
 ⇒準共有状態では、持分価格の過半数をもって権利行使者を定める。
   (持分価格の過半数に満たないと権利行使者が決められずデッドロックに)

・何も対策をしないままオーナーが亡くなると、法定相続人全員による遺産分割協議が必要となる。(時間がかかる)

<家族信託を使う大きな判断基準>・・

・認知症になった際の、運営や財産管理の面の対策が必要か?
・何代にも渡って資産承継を指定する必要があるか?
・自社株の議決権行使で不都合が生じるか?

■信託以外の選択-1<成年後見制度>
・成年後見制度は身上監護と財産管理(財産の減少防止・現状維持
・経営者や大株主が認知症になると、経営は忽ちデッドロック(行き詰まり)
・成年後見開始の審判を受けた場合、取締役の資格を喪失
・成年後見開始の審判が下りるまで時間がかかる
・成年後見人は、議決権行使を含む、全ての法律行為に関する権限を行使
・法律専門家(弁護士・税理士等)が就任した場合、財産を護ることが職務であり、基本、経営に関与はしない。また、就任中は継続的な
 報酬が必要になる。

・親族が就任した場合、報酬は不要(請求は可能)だが、毎年、家庭裁判所への報告書の提出義務がある。また、後見申し立て時、家族を後見人
 候補者に指名しても、実際に選任されるとは限らない。
・成年後見人の財産保護の為に、成年後見人から、遺産分割協議の際に、法定相続分、遺留分を侵害されている場合は、遺留分を主張される。

 

■信託以外の選択-2<株の贈与・売買>
・贈与税がかかる
・贈与により、現経営者の保有株式数が、議決権の過半数(例:発行株式数100株中51株以上)を下回った場合、経営権を掌握出来なくなる。
・贈与後も、しばらく経営権を握っておきたいとの希望があっても、叶えることができない。
・指図権がなく、お試しで贈与することが難しい。
・贈与後、後継者が先に亡くなった場合、後継者の相続人に株式が相続されてしまう。
・後継者である子への贈与後、後継者に子(卑属)がいない場合、再び親(尊属)に財産が戻り(二重課税)、せっかくの贈与が無駄になって
 しまう。
・売買には後継者の資金調達が必要。
・売買すると親(売主)には譲渡税がかかる。

■信託以外の選択-3<遺言>
・遺言者の死亡によって効力が発生。
・認知症による意思能力の低下や喪失~死亡までの間の対応ができない。
・遺言執行が必要な為、経営にタイムラグが発生。
・後継者候補に株式を相続させる旨の遺言を作成した場合でも、遺留分問題や遺言書の書換え等により、現経営者の死後、想い通りに株式を後継
   者に集中させることができるか疑問や不安が残る。
・後継者に自社株を集中して承継する場合、株価が高いままだと相続性の負担が大きい。

・現経営者の相続財産に占める自社株比率が高い場合、後継者以外の遺留分への対策や配慮が必要となる。

 

★例えば家族信託(民事信託)を活用すると・・
・課税時期を決められます
 ⇒遺言代用信託(死んだ時に贈与)
 ⇒停止条件付き遺言代用信託(孫が成人になったら◯◯を渡す・・)
・受益者は税務を考えた上で設定
・事業承継の確実性
・経営の空白が生じない・・後継者の地位の安定、議決権の分散化の防止
・経営者が認知症になっても、受託者である後継者が議決権を行使できます
 (経営者が元気なうちは指図権者として、議決権行使に指図を出すことも可)
・財産管理の安定性(受託者として法人(一般社団法人など))
・自社株を引き継いで経営できます
・遺留分対策を考慮しながら、生前に本人の意志で財産を振り分けしておける⇒生前贈与による相続税対策。積極的な資金運用。
・承継者に孫が適任者とすれば、孫の成長を観ながら信託契約に諸々規定することによって引き継ぐことも可能となります
・相続の際に遺言執行や遺産分割協議書等が一切不要で、即時に二次受益者に受益権が移動します