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時にはシンプルに

 物心ついた時には、溢れる情報の波間を漂いながら片手にスマホを持っている。
書を読むことを離れ、顔を画面に埋め、平面的な世界に生きることは、思考を遠ざけ、情操は育まれない。
痛みを伴わない仮装世界の殺人ゲームは、現実との境を失くす。
際限のない進化と欲に、人間が失ってきたものは計り知れない。
物に満たされない時代を生きてきた私は、白黒のTV画面に色を見て、不便の中に、有難さと数々の感動を財産とした。
そして、何時だって、デジタル世界を離れて、青空とそよぐ風の心地良さを満喫することができるのだ。
些細に見えても感じることのできる幸せという価値観。
今日、このFacebookが消え失せても、私が失せることはないのだ。

時にはスマホを置いてみよう。
手にスマホのない生活に、あなたがあたふたとし、孤独感いっぱいになるなら、
あなたは、自分のことに精一杯で、決して他人の役に立つことなどできないだろう。
現代社会における憂いとは、この、あっちもこっちも、頭を傾け手元画面を見る様な、自己に向いた狭小世界に生きていることだ。