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キャバレー

夕刻になると、大通りから一歩入り込んだ路地のその店先には、勢いよく水が打たれ、その濡らした路面は、暮れかける陽とともに、路地先にある公園から流れ来る風によってわずかに冷やりとして、日中の暑さを遠ざけながらほっと心地よくさせた。

この界隈は、日暮れとともにきらびやかな灯りと華やかな光景を映しだすのである。
店の玄関口の両脇には、たっぷりと目映いほどに純白の塩が盛られて、
やがて、このキャバレーはゴージャスにオープンする。

 

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な~んちゃって。(^^♪

いや~思い出すな。
開店間際の高級キャバレーの、奥の席では女の子は皆何故か俯いて、横の誰とも話すことなく黙して客を待っています。
私はボーイ服を正し、鏡でチョーネクタイを両手で真一文字に揃えます。
さあ開店。

やがてそぞろやって来る客達。

「いらっしゃいませ!(^^)」と、私は元気よくドアを開けながら客を招きいれ、席へ誘導。
「御指名は?」
「いらっしゃらなければ私どもが・・」
と言って指名するのは、我輩が心の中で・・「いいな~~~”^_^”」と想うホステスさん達。
当時は当然学生の私より皆年上。

ステンレス製のトレイにビールを5~6本載せ、もちろんあの頃はウエスト73センチで身も軽やかに、私はテーブルとテーブルの間を、すい~すいと行ったり来たり。
時に1オンス2オンスと計り、しかし適当に私がカクテルシェーカーを振ったりもして。
時々楽しみなチップも結構客からもらいながら、私は友人とそのキャバレーと系列のクラブを掛け持ちでバイトをしていたのです。

その店は、その地域では、なかなか高級で、綺麗な女性も多かった気がします。(^^)

休憩のために入る調理場では、気のいい賄いのおばさんと世間話をしながら時間を流し、日々ろくに食っていない私は、いよいよどうしょうもなく腹減って、時々オードブルの注文の品をちょっと失敬して摘み食い。
その皿の上に崩れた渇きものや果物を、丁寧に並べ替えて、また何食わぬ顔で客のテーブルに出したものです。
おばさんはにっこりと笑顔で私に「どんまい どんまい」と。

ホステスさん達は、
「ボーイさん!おしぼりちょだい(^^)」
「ウォーターないわよ(^^)」
と優しく、そしてうまく私を使います。

しかしこのバイトでの一番の想い出は、当時このお店で私が最も素敵だな~と心で想っていたホステスさんに、ある日、焼肉弁当を作ってきてもらったこと。
もちろんそれ以外は何もなしです。
これは感激でした。女性と話すことすらあまりできなかった私は
それだけで幸せ満点でした。(^^)

賑やかな、そして一見華やかなキャバレーの一日が終わり、私は、ホステスさん達と一緒に店の送迎マイクロバスに乗り込み帰途につきます。

やがて途中途中、すっぽりと闇に包まれた、あの町の通りの角で、そこの町の団地の前で、それぞれホステスさんは一人、そして一人と降りていきます。
華やかなお店の内と裏腹な、ひとつひとつの人生。

夏の夜の闇に消えていくドレスは、見送る学生の私の心に、何故かほの寂しく投影されたものです。